夜中の電話が、私の原点です
夜中に電話が鳴る。父が起きる。着替えて、病院へ向かう。 子どもの頃の私にとって、その光景は特別なものではなく、日常でした。
私は北里大学を卒業し、獣医師になりましたが、振り返れば、その道はもっとずっと前から始まっていたのだと思います。父も母も獣医師で、私は中学生の頃から動物病院を手伝ってきました。新患が来れば受け入れ、急患が入れば夜中でも動く。困っている飼い主さんに、できることを誠実にやり切る。正直に言えば、大変そうでした。でも、それ以上に、かっこよかった。獣医師という仕事は、ただ動物を診る仕事ではなく、誰かの不安と責任を引き受ける仕事なんだと、私はその背中から学びました。
家にはいつも犬や猫や鳥がいて、私は子どもの頃から生きものが大好きでした。虫を追いかけ、魚を捕まえ、トカゲや蛇にも夢中になるような子どもでした。だから獣医師になったのは、ある意味ではとても自然な流れでした。けれど、その「好き」は、やがて職業選択を超えて、自分の生き方になっていきました。
